こんにちは!のうきんです!
今回は番外編です。
10/8-9に開催された、日本臨床栄養学会総会に行ってきました!
日本臨床栄養学会とは栄養学を臨床の現場に用いて医学に貢献することを目的とした
医師を中心とした組織で、栄養学に関する学会では最も歴史のあるものです。
今回僕が行った、日本臨床栄養学会総会とは日本臨床栄養学会が主催する
年に1回の全国集会になります。
要するに、
日本中の栄養に詳しい先生方が一堂に会して最新の知見を交換し合う場所
というわけです。
今回はそんな学会で勉強してきた、情報をお送りしていきます!
topic① たんぱく質の摂取量・タイミング
たんぱく質の摂取すべき量については本ブログでも考察してきました。
上記の記事にて摂取すべきたんぱく質量は
18〜49歳:13〜20%エネルギー
50〜64歳:14〜20%エネルギー
65〜75歳以上:15〜20%エネルギー
と説明しました。
全年代とも20%エネルギー弱のたんぱく質摂取が必要と言えますが、
より詳しく見ると、
高齢者の方が多くたんぱく質を摂取する必要があると言えそうです。
この理由について詳しく説明がされていたためご紹介します。
体内では、筋肉の合成と分解が絶えず繰り返されています。
健常な成人では合成と分解のバランスが取れており、基本的には
totalが0となります。
しかし高齢者では分解が優位となりやすいため、健常成人と同様の食事では
筋肉が落ちやすくなるそうです。
そして筋肉の素となるたんぱく質を摂取することで、筋肉は合成に転じます。
そのため高齢者は若年者よりもたんぱく質を摂るべき、と言えます。
壇上の先生は、
おじいちゃんおばあちゃんは孫にお肉などのたんぱく質を譲りがちだが
孫がおじいちゃんおばあちゃんにたんぱく質を譲らなければいけない
と言われていたのがとても印象的でした。
また筋肉の合成の効果について
たんぱく質の量とタイミングと質が重要と言及されておられました。
量については、たんぱく質合成を最大限に高める摂取量として
若年者では一食当たりに0.26g、高齢者では一食当たりに0.4g
が必要とのことでした。
3食に直すと若年者:0.72g/day、高齢者:1.2g/day程度と少なめですが、
重要なのはtotal量ではなく、一食当たりに少なくともこのくらいの摂取量が必要
ということでした。
一食でも上記のたんぱく質の必要量が摂れない場合、
三食とも必要量のたんぱく質を摂れている方と比較すると、
筋肉量低下のリスクが高いと言われています。
これは若年者でも同様です。
そして多くの方で最もたんぱく質が不足する食事は朝食ですので、
朝食にたんぱく質の摂取を追加することが有用
と言えそうです。
質についてはたんぱく質を構成するアミノ酸の中でも
ロイシンというアミノ酸の含有量が多い方が筋肉の合成に有利なようです。
食品としては牛乳やヨーグルトといった乳製品に多く含まれています。
topic② 腸内細菌叢について
最近流行りの腸内細菌叢についても多くの話題がありました。
人間の腸の中には1000種類、100兆個の細菌がいるとされています。
顕微鏡で見ると、まるで細菌のお花畑に見えるとのことで、
腸内フローラなんて呼ばれ方もされます。
これだけ菌がいれば、良いやつがいれば悪いやつ、どっちつかずのやつもいます。
それらはそれぞれ善玉菌、悪玉菌、日和見菌と呼ばれます。
善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌など、CMでよく聞くやつですね。
これらの菌のバランスが乱れると、肥満や糖尿病などの死の四重奏、動脈硬化など
本ブログでテーマとしている健康寿命と密接に関わってくるとされています。
今回の学会では、腸内細菌がどのようにして健康寿命と関わってくるかを
説明されていましたので紹介します。
腸内細菌はプレバイオティクスと呼ばれるエサを与えることで、
人体に有利な生理的な効果を発揮します。
プレバイオティクスは腸内まで吸収されずに届けられなければなりません。
そのため、消化液でも代謝されにくいもの=食物繊維が該当します。
そしてプレバイオティクスを用いて、健康の保持増進に役立つ善玉菌のことを
プロバイオティクスと呼びます。
名前が似てて非常にややこしいですね。。。
生きたプロバイオティクス=善玉菌を摂取することも有効であり、
ヨーグルトなどの乳製品や乳酸菌飲料、納豆などが該当します。
これら2つが合わさると善玉菌は短鎖脂肪酸を生成します。
この短鎖脂肪酸により
- 腸内環境が整えられ、便通が良くなる
- ホルモンの産生を促進する
といった影響があります。
それに加え、
- 交感神経を活性化させて、代謝を上げる→やせやすくなる
- 脂肪の吸収を抑える
といった作用も分かってきました。
つまり腸内細菌の乱れがある場合は、
食物繊維や乳製品の組み合わせが動脈硬化性疾患の予防につながる可能性がある
というわけですね。
これらはまだ食事摂取基準に掲載されるほどのエビデンスがないため、
今後の研究結果に期待されますね。
topic③ 高血圧に対しての食事療法
高血圧についてはこれまでにも特集してきており、
食塩の減量が有効とお伝えしてきました。
今回の学会でも、如何に高血圧患者を減らすか、食塩摂取量を減らすか、
と盛んに議論されていました。
そんななかで、日本高血圧学会が減塩食品リストを発表していることを知りました。
これは2013年から適正の食塩量かつ、美味しい(ここ重要!)食品をピックアップし、
推奨しているというものです。
現在は26社118商品が掲載されており、馴染みのある食品がたくさんありました。
具体的には亀田製菓のハッピーターンや柿の種
伊藤ハムのロースハムなどもありました。
高血圧が気になる方は、このリストの中に自分が普段よく口にするものと近いものがあれば、
これらの減塩食品を優先的に購入されるのも良いかと思います。
減塩食品リストは以下に掲載しておきますので、是非ご覧ください。
減塩食品リスト:https://www.jpnsh.jp/data/salt_foodlist.pdf
まとめ
いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。
- たんぱく質は摂取する量と質とタイミングが重要
- 特に朝食のたんぱく質はしっかりと摂取する
- 腸内細菌のためには食物繊維と乳製品が有効
- 高血圧が気になる方は減塩食品リストも参考に
今回は臨床栄養学会総会で学んできたことの一部を紹介させてもらいました。
このような医療者向けの最新の知識はなかなか知る機会がないと思いますが、
今後も正しい栄養の知識をわかりやすく、発信していこうと思います!
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
健康な食事で豊かな未来を!
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