たんぱく質について

こんにちは!のうきんです!

今回からは栄養素について話をしていきます。

まずは三大栄養素の一つ、たんぱく質についてです。

たんぱく質を最初に取り上げたのは

最も意識的に摂取しなければ不足しがちになる栄養素だからです。

そんなたんぱく質について一緒に勉強していきましょう!

本サイトでは食生活改善による健康寿命延伸を目的としているため一般成人を対象とします。

乳児、小児、妊婦、授乳婦では値が異なってきますので、ご了承ください。

たんぱく質とは!?

まずはたんぱく質の前にアミノ酸について説明しましょう。

アミノ酸はたんぱく質の元となっている有機化合物で、

人の体の中には全部で20種類存在します。

アミノ酸は免疫力上昇や認知機能向上、脂肪燃焼効果、美肌効果などの

効果があるとても重要な物質です。

そしてアミノ酸は20種類全てが必要なのですが、

9種類は食事からしか摂れません。

そのため、この9種類は必須アミノ酸と呼ばれます。

そのためアミノ酸から構成されるたんぱく質も必須の栄養素というわけです。

たんぱく質は体内で代謝されてアミノ酸として活躍するだけでなく、

  1. 酵素やホルモンとして代謝の調節を行
  2. 代謝されてエネルギーになる(4kcal/g)
  3. 血液中で酸素や栄養分の輸送を行
  4. 抗体として病原菌と戦う

など重要な役割を多く担っています。

また筋肉や内臓、骨、髪などもたんぱく質でできており、

人の体の20%はたんぱく質でできています。

さらに筋肉量は基礎代謝に直結するため、

たんぱく質の摂取量は基礎代謝、エネルギー消費量にも影響します。

基礎代謝についてはこちらをご覧ください。

こんな感じで、たんぱく質は生活を送る上で、非常に重要な栄養素なのです。

疾患との関連

では、たんぱく質はどういう病気に関連するのでしょうか。

主にはフレイル慢性腎臓病です。

フレイルという言葉は馴染みが無い方が多いでしょう。

フレイルとは2014年に日本老年医学会が発表した概念で

「Frailty:虚弱」が語源となっています。

厚生労働省からの研究報告では

「身体的」、「精神・心理的」そして「社会的」要素からなり、

健常な状態よりは虚弱化が進行しているが、

いわゆる「身体機能障害(disability)」とは異なり、

適切な介入によって健常状態に回復することが可能な状態

と定義されています。

(「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」より)

つまりは、

加齢により元気がなくなってきているけど、今治療すれば元に戻る状態

ということです。

これは原因は様々ありますが、

たんぱく質摂取量の低下による筋肉量低下が一因とも言われています。

そのため、たんぱく質の不足はフレイルに影響すると言えます。

では慢性腎臓病はどうでしょうか。

腎臓は体内の老廃物を濾し出して尿として体外に排出する臓器です。

たんぱく質は体内で代謝され、尿素窒素として尿中に排泄されます。

その際に、糸球体(腎臓の一部)に負担をかけることになります。

そして腎臓の機能が悪くなれば、老廃物は体内に蓄積してしまいます。

これが慢性腎臓病の病態です。

そのため腎臓の機能が悪くなってきた人は、

たんぱく質摂取量を減らして腎臓への負担を減らそう!

となるわけです。

つまりは、たんぱく質の過剰摂取は慢性腎不全に影響すると言えます。

たんぱく質の適正量は!?

では、そんなたんぱく質の適正な摂取量はどれくらいでしょうか?

まず、筋肉はたんぱく質からできていると言いました。

そして、筋肉というのは日々、分解と合成を繰り返しています。

そのため、たんぱく質摂取量が少なければ合成ができないため、

分解ばかりが行われてしまいます。

つまりは現在の筋肉を維持するためにある程度のたんぱく質の摂取が必要となります。

それは1歳以上の全年齢層、男女ともに0.66g/kg/dayとなります。

これはアメリカ・カナダの食事摂取基準、WHOの基準なども同様です。

ただし、たんぱく質にも種類があり、

通常の食事から摂取したたんぱく質が利用される割合は

18歳以上の場合、90%程度と言われます。

0.66g/kg/dayという基準は利用率100%のたんぱく質であった場合が前提なので、

普通の食事を行う場合はもう少し高めの量が必要と思われます。

またこれは現在の筋肉量を維持するためだけの数字であるため、

成長期の児童や筋トレをしている方ではこの量では不十分ですね。

さらに説明した通り、たんぱく質の摂取不足はフレイルの原因となり得ます。

はっきりとしたフレイル予防に有効なたんぱく質摂取量はわかっていませんが、

1.0g/kg/day以上が望ましい、とされています。

上限については慢性腎臓病について考慮しなければいけません。

しかし、腎臓の機能が問題ない人においては、

大量のたんぱく質を摂取しなければ、腎臓の機能を低下させることはない

とも報告されています。

結局摂るべきたんぱく質量は!?

以上、ここまでで必要なたんぱく質摂取量について考えてきました。

最終的にあなたが摂取すべきたんぱく質はどれくらいなのでしょうか。

たんぱく質はエネルギー産生栄養素なので、

その人の必要なカロリー数によっても摂るべき量は変わります。

そのため、何%のエネルギーをたんぱく質で補うか、という考え方が必要です。

これまでのことを踏まえた結果は以下の通りです。

18〜49歳:13〜20%エネルギー

50〜64歳:14〜20%エネルギー

65〜75歳以上:15〜20%エネルギー

これが目標とすべきたんぱく質の摂取量になります。これは男女とも同等です。

大まかにはどんな人も1日で摂取するカロリーの20%弱をたんぱく質から摂る

というのが理想的な食事というわけです。

まとめ

いかがでした!?今回のまとめは以下の通りです。

  1. たんぱく質は人体の20%を構成する必須の栄養素
  2. 不足はフレイルに、過剰は慢性腎臓病に影響する
  3. どの年齢層でも概ね20%エネルギー弱が必要量

ご高齢の方や慢性腎臓病の方では、摂るべき値に若干の修正は必要ですが、

大半の方は上記に当てはまると思います。

たんぱく質は普通に生活するにも、ダイエットをするにもとても重要な栄養素です。

ぜひ正しい知識を身につけてください!

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

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のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。