ミネラルの二大巨頭「ナトリウム」と「カリウム」

こんにちは!のうきんです!

前回までで、三大栄養素について勉強してきました。

今回はミネラルのうち、最も生活習慣病に関係すると言っても過言ではない、

ナトリウム(Na)カリウム(K)について勉強していきましょう!

ミネラルとは人体を構成する4つの元素(酸素、水素、炭素、窒素)以外の元素のことを指します。

人に必須のミネラルは、全16種類あります。

必須のミネラルは体内で生成できないため、全て食事で摂る必要があります。

Na、Kはいずれも高血圧や腎不全といった、

メジャーかつ重要な生活習慣病に関わってきますので、

ぜひ覚えてください!

Na(ナトリウム)

Naは人間の体内に100gほどあり、

多くは細胞の外にある体液(細胞外液)に分布しているミネラルで、

細胞内外の水分のバランスを整えています。

それでは、Naが関わる生活習慣病はなんでしょうか。

一つは皆さんご存知の高血圧です。

Naはほとんどが食塩から摂取されます。

Naは血液の濃さを決める要因の一つですので、食塩の摂りすぎは血液を濃くします。

濃くなった血液は水を引っ張ってきますので、

結果的に血液量を増やし、高血圧に繋がります。

また高血圧は腎臓に負担をかけるため、慢性腎臓病のリスクであるとも言われています。

それでは、摂取すべき食塩の量はどのくらいでしょうか。

Naは食事からしか摂取できない必須ミネラルであるため、

本来であれば摂取基準の下限量が必要です。

しかし、ほとんどの日本人は必要量以上のNaを摂取しており、

通常の生活を行っていれば、不足や欠乏の可能性はほとんどありません。

そのため、下限量はなく目標とすべき上限のみ定まっています。

WHOは2012年に高血圧の予防、治療のために食塩の摂取量を

5g/day以内と規定しています。

しかし、平成28年の国民栄養・健康調査での日本人の食塩摂取量によると、

5g/dayというのは、日本人の摂取量の下5%に相当する量です。

そのため、5g/day以下を目標とするのは現実的ではありません。

そこで上記の調査における中央値と5gの中間の値が目標量となりました。

男性:7.5g/day以内

女性:18〜49歳:6.5g/day

50歳以上:7.0g/day

            ※一部改変しています

さらに現在すでに高血圧、慢性腎臓病と診断されている患者では、

高血圧、慢性腎臓病の重症化予防目的として、6g/day未満と規定されています。

K(カリウム)について

次にKです。

こちらはNaとは逆に細胞内に多く含まれるミネラルで、体内には200gほどあります。

Naと同様に細胞内外の水分管理や、

濃度勾配を利用することで筋肉や神経の興奮伝導を司ります。

では、Kはどのような疾患と関連するでしょうか?

その前に、ひとつ覚えておくこととして、

多くの場合、KはNaと逆の動きを取ります。

Naは90%が腎臓で排出されるのですが、排出だけでなく再吸収も行っています。

KはNaの再吸収を抑制することで、Naの排出を促進します。

つまりKの摂取はNaの低下に繋がります

そのためKは「Naの過剰摂取による高血圧」の予防になります。

さらにそれに伴う脳卒中、心血管疾患のリスクの低下に寄与するとされます。

WHOはこれらのリスク低下を目的として、Kの目標摂取量を

3510mg/day以上としています。

では日本人のK摂取量はどれくらいでしょうか。

平成28年の国民健康・栄養調査では18歳以上の成人の摂取量の中央値は

2168mg/dayとされており、Na同様、WHOの目標とは大きく乖離があります。

そこでNa同様、これらの中間を取り、目標量は以下の通りとなっております。

男性: 18〜74歳:3000mg/day

75歳以上:2800mg/day

女性: 18〜74歳:2600mg/day

75歳以上:2400mg/day

ちなみにKは腎臓で排出されるため、腎臓病がある場合は逆に蓄積します。

血中K値が高くなると致死的不整脈が起こる可能性が上がるため、

慢性腎臓病がある方はKは制限する必要があります。

この辺りは後日、慢性腎臓病として詳しくご説明します。

最後にKが多く含まれる食品ですが、海藻や果物、野菜類に多く含まれます。

また水分に溶けやすいため、汁ごと飲めるような料理であれば、

より効率的に摂取できるでしょう。

まとめ

いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。

  • Naは食塩に含まれ、高血圧、腎臓病のリスクになる
  • Naの目標量は6.5g〜7.5g/day、高血圧の既往があれば6g/day以内
  • Kは海藻、果物に多く、Na排出に寄与する
  • Kの目標量は2400〜3000mg/day

今や日本人の3人に1人が高血圧と言われています。

また、高血圧は心筋梗塞、脳卒中などの重大な疾病に直結します。

Na、Kの適切な摂取は高血圧の予防、増悪防止に非常に重要ですので、

ぜひ正確な知識を身につけてください。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT US
のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。