心血管リスク31倍!?「メタボリックシンドローム」

こんにちは!のうきんです!

これまで、心血管疾患の根幹となる、死の四重奏について解説してきました。

今回はそれらの合わせ技である、メタボリックシンドロームについて見ていきます。

これまでにも複数回見てきましたメタボリックシンドロームですが、

構成する4つの疾患について見てきましたので、

ここで改めてメタボリックシンドロームについて再確認していきましょう!

メタボリックシンドロームの定義・診断基準

まずは定義からです。

メタボリックシンドロームは2005年に発表された概念ですが、

メタボリックシンドローム診断基準検討委員会のレポートによると、

インスリン抵抗性、動脈硬化惹起性リポ蛋白異常、血圧高値

個人に合併する心血管病易発症状態」となります。

つまりは肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病を合併し、心血管疾患になりやすい状態

というわけです。

正確には肥満を必須条件とし、残り3つのうちの2つを満たした場合に診断されます。

厚生労働省 e-ヘルスネット様より参照 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html

メタボリックシンドロームにおける、脂質異常症、高血圧、糖尿病のそれぞれの診断基準は

本来の診断基準とは若干異なる、もしくはその一部のみを抜粋した形になっていますが、

概ね違いはありません。

また肥満の稿でもお伝えしましたが、肥満の中でも内臓の周囲にある脂肪が

より健康への悪影響があるのでした。

この内臓脂肪についてはCTで蓄積量を測定する方法が考案されており、

100cm2以上で肥満と判断されています。

しかしメタボリックシンドロームの診断のためのCT検査は現実的ではありません

CTでは放射線被曝を伴います。

そこで簡易な代替法として、腹囲を測定することとなったのです。

腹囲測定のポイントは以下の通りです。

  1. 空腹時に息を吐き切った状態で測定する
  2. 臍の高さで地面と並行に測定する

eヘルスネット様のサイトにわかりやすい動画がありましたので、

ぜひそちらもご参考にしてください。

メタボチェック 腹囲の測り方

メタボリックシンドロームの意味

ではなぜメタボリックシンドロームという概念をわざわざ作ったのでしょうか?

その説明の前に心血管疾患(脳卒中、心血管病)について簡単に復習します。

動脈硬化に由来する心血管疾患は、平均寿命・健康寿命とも脅かす重大な疾患です。

以前は動脈硬化に対する最も重要なリスクファクターは高コレステロール血症

認識されていました。

しかし複数の研究の結果、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病を複数合併すること

重大なリスクになり得ることがわかりました。

Nakamura T, et al : Magnitude of sustained multiple risk factors for ischemic heart disease in Japanese employ
ees : a case-control study. Circ J 65 (1) :11-17,2001より作成

これはリスクとなる疾患を合併している数と、

心血管疾患の発症のリスクを比較したものですが、

3つ以上のリスクを持っている場合、1つの場合と比較し、

心血管疾患を発症するリスクが31倍も上昇するということがわかりました。

つまりメタボリックシンドロームは

心血管疾患を高い確率で発症しうる危険な状態であると言えます。

また肥満は残り3つの発症リスクを上げることもわかった結果、

肥満を上流としたメタボリックシンドロームの概念が生まれました

心血管疾患以外のリスク

上記の通り、

メタボリックシンドロームは心血管疾患の重大なリスクとしての意味を持ちますが、

それ以外にも多くのリスクがあります。

炎症と血栓

体内で起こる炎症は細菌などの感染症以外に、

サイトカインと呼ばれるホルモンにより起こることがあります。

脂肪細胞はTNF-αやIL-6という炎症を引き起こすサイトカインを産生します。

またインスリンや中性脂肪を多く含むリポ蛋白は

PAI-1という血栓を生成するたんぱく質を生成します。

血栓症もまた脳梗塞や肺塞栓という恐ろしい疾患のリスクとなり得ます。

高尿酸血症

尿酸とは痛風や尿管結石のリスクとなる化合物です。

明らかな機序は不明ですが、メタボリックシンドロームでは尿酸値が上昇します。

特に血中の中性脂肪が多い場合は、血中の尿酸値が上昇しやすいとされています。

そのため逆に血中の尿酸値が高い場合は、

メタボリックシンドロームの有無を確認することを推奨されています。

メタボリックシンドロームを改善させるには

ここまで見てきたように、メタボリックシンドロームは心血管疾患以外にも

多くの疾患を引き起こす、避けるべき症候群です。

ではどのように避ければ良いのでしょうか。

上述のようにメタボリックシンドロームの根幹には内臓脂肪の蓄積があります。

そのため、まずは肥満の改善、つまりはエネルギー摂取量の摂生が必要です。

実際に1kgの減量は1cmの腹囲の改善に相当するとされています。

自分に適したエネルギー量の計算については、こちらも参考にしてください。

また腹囲がメタボリックシンドロームの基準を満たさなかったとしても、

その他の複数の疾患を持っている場合、メタボリックシンドロームに準じた治療を行う

とされています。

まとめ

いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。

  1. 心血管疾患のリスクを複数持つと、メタボリックシンドロームと呼ばれる
  2. メタボリックシンドロームになることで、一気に心血管疾患のリスクが上がる
  3. 減量による内臓脂肪の改善が効果的である

今となっては誰もが聞いたことのある言葉となっていますが、

その真の意味まで知っている方はごく僅かだと思います。

またリスクとなる疾患を1つでも持っている方は決して少なくないでしょう。

ぜひメタボリックシンドロームについて正しく学び、

見た目も中身も健康的な生活を送りましょう!

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

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のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。