こんにちは!のうきんです!
前回は脂質の体内での役割や、大まかな種類などを説明していきました。
また摂取基準が設けられている
飽和脂肪酸、必須脂肪酸についても勉強してきました。
今回はそのほかの健康に影響するとされている脂質について、
また脂質の総摂取量について考えていきましょう!
前編をまだ読んでいない方は是非そちらからご一読ください。
脂質の種類について
まずはおさらいからです。
脂質は大きく
- 脂肪酸
- コレステロール
- リン脂質
- 糖脂質
- 中性脂肪
に分かれるのでした。
そして2020年食事摂取基準にて目安量が決まっているのはコレステロールと脂肪酸でした。
今回はコレステロール、トランス型脂肪酸、一価不飽和脂肪酸
について確認していきます。
コレステロールとは!?
コレステロールは日常生活でもよく聞く言葉ではないでしょうか。
コレステロールは健康に良くないもの、減らすべきものとよく言われますが、
実は人間にとって必要不可欠な栄養素です。
- 髪を滑らかにする
- 胆汁と呼ばれる消化酵素の一部になる
- 細胞膜を構成する
と様々な役割を持っている栄養素なのです。
また善玉コレステロール(HDL-C)、悪玉コレステロール(LDL-C)
といった言い方も聞いたことがあるでしょう。
コレステロールは体内では肝臓に蓄えられますが、余ったものは血中に流れています。
しかしコレステロールは脂成分のため、そのままでは血液に溶けません。
そのためリポたんぱく質というたんぱく質と合体することで、血液中に溶けます。
このリポたんぱく質にはいくつか種類があり、
密度の違いによってHDL,LDL(High/Low Density Lipoprotein)などと分けられます。
つまり、HDL/LDL-Cというのは
これらのリポたんぱく質と合体したコレステロール、ということです。
ではなぜこれらがそれぞれ善玉/悪玉と呼ばれるかについてです。
それはHDL-Cは血管から肝臓に戻されるコレステロールで、
LDL-Cは肝臓から血管に向かっていくコレステロールだからです。
血中のコレステロールのバランスが悪い状態や中性脂肪が多い状態を
脂質異常症と呼びます。
そして脂質異常症が増悪すると動脈硬化が進行します。
動脈硬化については今後改めて説明しようと思いますので、ここでは簡単に。
LDL-Cは全身の血管に運ばれて、それぞれの細胞に取り込まれますが、
必要以上のLDL-Cは取り込まれずに血管壁に沈着し細胞壁で炎症を起こします。
その結果、動脈壁に脂成分が蓄積し動脈壁の肥厚を来します。
これが動脈硬化です。
そのため動脈硬化の原因となり得るLDL-Cが悪玉、
血中のコレステロールを軽減し、動脈硬化の予防に働くHDL-Cが善玉、
と呼ばれます。
脂肪酸の中にも良いもの、悪いものがあると言いましたが、
このようにコレステロールの中にも良いもの、悪いものがあります。
それではコレステロールの摂取基準はどれくらいなのでしょうか。
実はコレステロールは体内でも産生されており、
血中コレステロールの70~80%は体内で合成される
と言われています。
また食事から取られたコレステロールが体内に吸収される割合は個人差が強く、
20〜80%(平均50%)ともされています。
さらに血中のコレステロール濃度は常に一定になるよう制御されており、
コレステロール摂取量が減少すれば、肝臓からの供給が増えます。
つまり、
コレステロール摂取量は血中コレステロール濃度に影響しにくい
と言えます。
そのため日本食事摂取基準2015では、これまでに設定されていた
コレステロールの目標上限量が撤廃されました。
そして現在でもコレステロールの摂取基準はありません。
しかしこれは
コレステロールを制限なく摂取して良いという意味ではありません!
また普段の食事で最も多くコレステロールを含むものは卵です。
そのため、卵の摂取量と動脈硬化疾患との関連を調べた研究が多数存在します。
その中には卵の摂取量が0〜1個/dayの範囲では、
循環器疾患の発症に影響しないといった報告があるものの、
卵の摂取量が増えると循環器疾患の発症率・総死亡率も増えた
という報告もあります。
僕も一時期、ゆで卵にどハマりしてた時期があり、
1日4〜6個食べていた時期がありますが、
そうするとLDL-Cが60台から130台まで跳ね上がりました笑
すぐに卵の量を1日1個まで戻しましたが、
すると次の健診では70まで下がりました笑
以上のように人それぞれコレステロールの吸収力が違うため、
あくまで統一した摂取基準量を設けるのは難しい
だけであると考えた方が良いと思われます。
また既に高LDL-C血症を指摘されている方はこの限りではありません!
上記の方は200mg/day未満
に摂取量を抑えることで、高LDLコレステロール血症を予防できるとされています。
一価不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸の中には、二重結合という構造を持つものがあります。
その個数が1個の場合、一価不飽和脂肪酸と呼び、
2個以上の場合は多価不飽和脂肪酸と呼びます。
今回は一価不飽和脂肪酸についてです。
代表的なものとしてはオレイン酸と呼ばれる脂肪酸が該当します。
多く含まれるものとしてはオリーブ油やひまわり油などの植物性油があります。
そして一価不飽和脂肪酸は、
LDL-Cや中性脂肪を下げ、脂質異常症を抑制する
効果があるとされています。
しかし具体的な摂取推奨量は定まっておらず、今後の発表が期待されるところです。
トランス脂肪酸
不飽和脂肪酸には二重結合の数の違いの他に、シス型とトランス型という分類方法があります。
シス型とトランス型の違いは、
C(炭素)に繋がる2つのH(水素)がどの位置に来るか、です。
農林水産省HP参照 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/
二重結合から見て同じ側にあるものがcis型、
二重結合を挟んで体側にあるものがtrans型です。
たったこれだけの違いですが、健康上には大きな違いがあります。
なお存在する不飽和脂肪酸のほとんどはシス型です。
トランス型は
- 工業的に液状の脂を固形の脂に変化させるときの副産物
- 牛などの反芻生物の肉、乳製品
などに含まれます。
具体的にはマーガリンやショートニング、牛肉などに多いです。
トランス脂肪酸も一価不飽和脂肪酸の一つのため、健康に良さそうな感じがしますが、
こちらはむしろ健康に対して有害とされています。
LDL-Cを上昇、HDL-Cを低下させ、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)のリスクを上げる
と報告されています。
ではどの程度トランス脂肪酸を摂取すると危険なのでしょうか。
WHO(世界保健機構)は摂取上限量を総エネルギー量の1%以内
と提唱しています。
では日本人の摂取量は概ねどの程度でしょうか?
実は国民健康・栄養調査(平成15〜19年)では、日本人の平均摂取量は
0.3%エネルギーと言われています。
というわけで、普通の生活をしている日本人の多くは
問題となりうる量のトランス脂肪酸は摂取していないんですね。
ただ、もしマーガリンやショートニング、牛肉などを多く食べている自覚がある方は、
1%エネルギー以下の摂取を意識した方が良いと思われます。
脂質の総摂取量について
ここまで脂質についてそれぞれ細かい分類ごとに見てきました。
では脂質全体は結局どのくらいの量を摂取すべきなのでしょうか。
脂質はn-6系、n-3系などの必須脂肪酸といった、下限量が決まっているものもあれば、
トランス型や飽和脂肪酸などの上限が決まっているものもありました。
そのため、下限、上限の両方が必要な栄養素です。
これらを総合した結果、
トータルの脂質の摂取目標量は20〜30%エネルギー/day
とされています。
まとめ
いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。
- LDL-Cは動脈硬化のリスクである
- コレステロールは卵に多く、食べ過ぎは危険である
- 脂質異常症の方はコレステロール摂取量を200mg/day以下にする
- トランス脂肪酸は高脂血症のリスクであり、1%エネルギー以下とする
- トータルの脂質の摂取目標量は20〜30%エネルギーである
今回で脂質についての勉強は終わりです。お疲れ様でした。
脂質、脂肪酸、コレステロールなど区別が難しい言葉が多かったと思います。
しかしそれぞれ健康への影響が様々ですので、ぜひ一度しっかり内容を整理して
正しい知識を身につけてください。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
健康な食事で豊かな未来を!
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