脂質について(前編)

こんにちは!のうきんです!

前回はたんぱく質について語っていきましたが、今回は脂質です。

これも奥が深い!

脂質は三大栄養素の中で

最も分類が多く、一口に脂質と言っても様々な種類があります。

覚えることも多い脂質ですが、多くの病気に関わってくるため、

ぜひ覚えて欲しい栄養素です。

今回は前後編の2回に分けて勉強していきます。

では一緒に脂質について見ていきましょう!

脂質とは!?

脂質とはその名の通り、水に溶けない脂の成分です。

  1. ホルモンの原料にな
  2. 細胞の膜の材料にな
  3. ビタミンの吸収を助け

と、多くの役割があります。

また9kcal/gという

炭水化物、たんぱく質の2倍以上のエネルギーを産生できます。

そのため効率よくエネルギー源を貯めるために脂肪を蓄積しやすい

とも言われています。

栄養学的に重要な脂質は大きく5つに分類され、

  1. 脂肪酸
  2. コレステロール
  3. リン脂質
  4. 糖脂質
  5. 中性脂肪

に分かれます。

中でも、摂取基準について定められているものは

脂肪酸コレステロールになるため、

今回はこの2つに関して勉強していきましょう。

脂肪酸の種類について

                                           2020年食事摂取基準

脂肪酸はさらに3種類に大別され、そこからさらに細分化されます。

飽和、一価不飽和、多価不飽和の違いについては、炭素間の二重結合の個数

という化学式の構造によって分けられていますが、

栄養学的にも意味合いが全く変わってきます

また多価不飽和脂肪酸の中でも

n-6系、n-3系と呼ばれる脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸となります。

さらに不飽和脂肪酸の中には幾何異性体と呼ばれる構造の違いがあり、

シス型、トランス型に分かれます。

今回は目安量を示されている、

飽和脂肪酸、n-6系、n-3系(点線で囲まれた部分)と、

明確な摂取基準は決まっていないものの、健康への影響が考えられている

トランス型、一価不飽和脂肪酸

これらについて深掘りしていきましょう。

①飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は体内で合成が可能であるため、必須脂肪酸ではありません。

そして、脂肪酸ごとに見ると、日本において2番目に多く摂取されている脂肪酸です。

                    食事摂取基準2020(上段:男性 下段:女性、平均値:g/日、括弧内は平均値:% エネルギー) 

そして飽和脂肪酸の過剰摂取は

脂質異常症(高LDLコレステロール血症)の原因となります

脂質異常症、高LDLコレステロール血症については後日、改めて深掘りしますが、

LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロール、と呼ばれるものです。

つまり健康にとって良くないものです。

脂質異常症は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化に関連する

重要な疾患のリスクになります。

よって飽和脂肪酸は摂りすぎに注意が必要な脂肪酸と言えます。

飽和脂肪酸を多く含む食品としては、肉の脂身やバター、ラードなどがあります。

常温で固形のものが多いですね。

②n-6系脂肪酸

n-6系脂肪酸は多価不飽和脂肪酸の一つになります。

さらに細分化され、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などがあります。

ちなみに日本人が摂取するn-6系脂肪酸の98%はリノール酸とされ、

リノール酸からγ-リノレン酸、アラキドン酸が生成されます。

またリノール酸は体内で合成できないため、必須脂肪酸になります。

n-6系脂肪酸は不足すると皮膚炎を生じるとされています。

またn-6系脂肪酸の摂取量が増加した場合、

狭心症、心筋梗塞の予防に繋がるという報告もあります。

つまり、n-6系脂肪酸は健康のために摂取すべき栄養素

と言えそうです。

n-6系脂肪酸が多い食品は大豆油やコーン油、ごま油などの植物性油に多く見られます。

③n-3系脂肪酸

n-3系脂肪酸もまた、多価不飽和脂肪酸の1つで必須脂肪酸です。

細分化すると、α-リノレン酸、EPA、DHA、DPAに分かれます。

最も多く摂取されているn-3系脂肪酸はα-リノレン酸となります。

n-3系脂肪酸も欠乏により皮膚炎を生じるとされています

そしてn-6系脂肪酸と同様に、循環器疾患の発症を予防したとの報告もあります。

そのため、n-3系脂肪酸も健康のために摂取すべき栄養素

と言えそうです。

n-3系脂肪酸は青魚やえごま油、亜麻仁油などに多く含まれます。

目標とすべき摂取量は?

ここまでで、摂取量に注意すべきとされている脂肪酸について見てきました。

それらをまとめると、

飽和脂肪酸は過剰摂取に注意すべき栄養素

n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸は摂取不足に注意すべき栄養素

と言えます。

しかしいずれも疾患との関連は言われているものの、

摂取すべき明確な数値は決まっていません

そこで上記3つの脂肪酸について、

現在の日本人の摂取量を基準に目安量が作成されました。

それが下記の通りです。

いずれも平成28年の国民健康・栄養調査のデータです。

これらを参考にそれぞれの摂取すべき目安量が設定されました。

それがこちら。

飽和脂肪酸:

18歳以上の全ての成人において7%エネルギー以下

n-6系脂肪酸 

男性:

  • 18〜29歳:11g/day
  • 30〜64歳:10g/day
  • 65〜74歳:9g/day
  • 75歳以上 :8g/day

女性:

  • 18〜74歳:8g/day
  • 75歳以上 :7g/day

n-3系脂肪酸 

男性: 

  • 18〜49歳:2g/day
  • 50〜74歳:2.2g/day
  • 75歳以上 :2.1g/day

女性:

  • 18〜49歳:1.6g/day
  • 50〜64歳:1.9g/day
  • 65〜74歳:2.0g/day
  • 75歳以上 :2.1g/day

となりました。n-6系、n-3系が非常に細かく分類されてわかりにくいですね笑

ただ必須脂肪酸は通常の生活をしていれば欠乏症になることはまずありません。

なので、あまり細部にこだわらず、

飽和脂肪酸についてより注意していただければと思います。

また%エネルギーという単位がわからない方は、こちらをご参考ください。

まとめ

いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。

  • 脂質は多くの種類に分かれ、それぞれ効果が違う
  • 飽和脂肪酸は高脂血症のリスクになり、7%エネルギー以下を目指す
  • n-6系脂肪酸は、概ね男:10g/day前後、女:8g/day前後を目指す
  • n-3系脂肪酸は、概ね男:2g/day以上、女:2g/day前後を目指す

今回取り上げた3つの脂肪酸については摂取すべき目安量が定められており、

特に脂肪酸は脂質異常症という生活習慣病に直結するリスクが高いため、

ぜひ覚えておきましょう!

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

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のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。