炭水化物について

こんにちは!のうきんです!

ここまで、たんぱく質、脂質について勉強してきました。

いよいよ最後の三大栄養素の炭水化物です。

炭水化物はダイエットなどでもよく話題になる栄養素で、

なんとなく減らした方がいいもの、と思っている方も多いでしょう。

しかし、炭水化物も健康的な生活をする上で必須の栄養素であり、

三大栄養素の中で最も多く摂取すべき栄養素とされています。

また炭水化物の1つである食物繊維は

多くの疾患の予防が期待できる重要な栄養素です

しっかり学んでいきましょう!

炭水化物とは!?

炭水化物はC(炭素)、H(水素)、O(酸素)によって作られる化合物になります。

そして、糖類と呼ばれる構成単位が複数集まった重合体です。

糖類の数によって呼び方が変わり、

  • 1つだけのものが単糖類
  • 2つ集まったものが二糖類
  • 3〜9個集まったものがオリゴ糖
  • 10個以上のものが多糖類

と呼ばれます。

これらは消化酵素によって糖類に消化されて、

血中に吸収され血糖値を上昇させます。

そのため、

糖類の数が多いほど消化に時間がかかり、血糖値の上がりも穏やかになります。

また結合している糖類の数の他に、

糖質食物繊維という分類の仕方ができます。

食物繊維が炭水化物の1つであるということは

知らなかった方も多いのではないでしょうか?

食物繊維は人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体

とされており、食事摂取基準では多糖類と同義として扱われています。

そして、多糖類以外の糖類は糖質として分類されています。

                                                  食事摂取基準2020

糖質は食物繊維と比較すると、消化、吸収が早いため

エネルギー源として重要な栄養素になります。

よく糖質制限とか、糖質オフという言葉が聞かれると思いますが、

これらは炭水化物の中でも

糖質の摂取を減らし、摂取カロリー(エネルギー)を減らそうということなんですね。

ということで、脂質でも同様のことが言えましたが、

炭水化物も摂取する内容(質)を意識することが重要となります。

糖質について

まずは糖質について見ていきましょう。

糖質の役目は上述の通り、エネルギー源となります。

糖質1gあたり、4kcalのエネルギーを産生できます。

これまで見てきた、たんぱく質や脂質でもエネルギーは産生されますが、

なぜ糖質がエネルギー源として重要なのでしょうか。

それは糖質が体内で代謝されることで、

グルコース(ブドウ糖)という栄養素になるためです。

グルコースは最も速く吸収され、効率よくエネルギーを産生する栄養素です。

また基本的にはグルコースしかエネルギー源として使用できない組織もあります。

脳や神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣などが挙げられます。

ちなみに脳は全体重の2%ほどしかない臓器ですが、

総基礎代謝量の20%を消費する重要臓器です。

そのため糖質はエネルギー源として、なくてはならない栄養素なんです。

次に疾患との関連です。

糖質はメインの役割がエネルギーですので、

糖質の摂りすぎは当然肥満につながります。

では糖質の摂取量はどれくらいが理想なのでしょうか。

目標とすべき糖質の摂取量はたんぱく質と脂質の摂取量の残余とされています。

つまり2000kcalが必要な人で、たんぱく質と脂質で800kcal分を

摂取している人であれば、残りの1200kcal分を糖質から摂取すべきとなります。

一般的な数字で言うと、年齢、性別とも関係なく、

50〜65%エネルギーが炭水化物の目標量となります。

ちなみに食物繊維は糖質に比べて摂取量が圧倒的に少なく、

エネルギー産生量も少ないため、糖質の摂取量だけで計算して問題ないでしょう。

食物繊維とは!?

食物繊維は便秘に良い、という話はみなさんご存知でしょう。

実は、その他にも多くの作用があり、三大栄養素、ビタミン、ミネラルに続く、

第6の栄養素とも呼ばれています。

食物繊維は、水に溶ける水溶性と水に溶けない不溶性に分けることができますが、

機能がそれぞれ違います。

水溶性食物繊維は脂質の吸収を抑え、血糖値の上昇を緩やかします。

食物繊維という名前からは、サラサラとした繊維質な印象を持つ方が多いと思いますが、

水溶性食物繊維は水に溶けることで、ネバネバした粘着質な物質に変わります。

その結果、食べ物がゆっくりと腸を移動し、吸収が緩やかとなるため、

脂質や糖の吸収が抑えられるんですね。

一方、不溶性食物繊維は水に溶けないため、便のかさを増して、腸を刺激するため、

排便促進につながります。

ちなみに炭水化物に属していますが、

ほとんど消化されないためエネルギー源としての機能はほぼなく

産生するエネルギーも1gあたり、0〜2kcalと言われています。

さらに現在の日本人成人の

食物繊維の摂取量の中央値は13.7g/dayと言われているので、

エネルギーとしての意味合いは乏しいです。

それでは、食物繊維と疾患との関連はどうでしょうか。

こちらは、数多くの疾患に対して予防効果が証明されています。

具体的には

  1. 総死亡率の低下
  2. 心筋梗塞の発症・死亡率の低下
  3. 脳卒中の発症の低下
  4. 循環器疾患の発症・死亡の低下
  5. 2型糖尿病の発症の低下
  6. 乳がんの発症、胃がんの発症、大腸癌の発症の低下
  7. 血中コレステロール・LDLコレステロールの低下

です。すごくないですか笑?食物繊維を多く摂ると死亡率が下がるんですよ笑?

これらの結果を報告している研究において、摂取されていた食物繊維の量はまちまちですが、

20g/day程度の報告が多く、25〜29g/dayが最も顕著な効果を示した

とされています。

例えば、心筋梗塞の発症に関しては20g/day程度の摂取を行っていた人は

そうでない人と比較し、15%ほど発症率が下がったとされています。

これらの結果を受けて、アメリカ・カナダの基準では、

14g/1000kcal以上の摂取を勧めています。

2000kcalを1日で摂る場合は28g以上ですね。

しかし、これは日本人成人の摂取量の中央値である、13.7g/dayを大きく上まっており、

この水準まで到達することは現実的に難しいです。そこで、成人ではこれらの中間をとり、

男性: 

18歳〜64歳:21g/day以上

65歳以上  :20g/day以上

女性: 

18歳〜64歳:18g/day以上

65歳以上  :17g/day以上

が目標量として設定されています。

食物繊維は多くの方が目標量を摂取できておらず、かつ効果が大きい栄養素なので、

意識して多く摂ることで、多くの方が今以上に健康的な食生活を送れるでしょう。

アルコールも実は炭水化物

ここまで糖質と食物繊維について見てきましたが、

実はアルコール(お酒)も炭水化物の1つです。

主成分はエタノールです。

アルコールは健康に良くない、という考えている方も多いと思いますが、

全くアルコールを飲まない場合と比較して、

少量であれば心筋梗塞や糖尿病の発症を抑えるという報告もあります。

しかしその一方で、口腔がんなど一部のがんの発症率を上げる

といった報告もあるため、

アルコールの摂取を推奨するという訳ではありません

また過度の飲酒は当然、健康に良いものではなく、

10g/day以上のアルコールは健康障害のリスクとされています。

またアルコールは炭水化物の一種ではありますが、糖質とは産生するエネルギーが異なり、

1gあたり7kcalのエネルギーを産生します。

つまり糖質と比較して少量でもエネルギーに変わりやすい、ということです。

なおアルコールは体内に蓄積されにくく、熱に変化しやすいため、

実際に7kcal全てが吸収されているわけではないと言われています。

また、アルコールはエンプティーカロリー(empty calorie)とも言われます。

日本語にすると、空のカロリー、という意味です。

これはカロリーが無いという意味ではなく、栄養素が含まれていないカロリー

という意味ですので、お気をつけください。

まとめ

いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。

  • 炭水化物は糖質と食物繊維に分かれる
  • 糖質はエネルギー源となり、50〜65%エネルギーが目標量
  • 食物繊維は多くの疾患の予防効果がある
  • 食物繊維の目標量は男性:20g/day、女性18g/day程度

同じ炭水化物でも、糖質と食物繊維は全く生理作用が異なります。

どちらも非常に重要な栄養素なので、是非正確な知識を身につけてください!

これで三大栄養素についての勉強は一通り終了です。お疲れ様でした!

次回はこれまでのまとめとして、

三大栄養素の中でも特に気にするべき栄養素とその量について

改めてまとめてみようと思います。具体的な食材なども挙げてみようと思いますので、

普段の食事に是非落とし込んでもらえたらと思います!

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT US
のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。