こんにちは!のうきんです!
ここまで死の四重奏からメタボリックシンドロームまで見てきました。
今回は心血管疾患の前段階である、動脈硬化について解説していきます。
動脈硬化は正式な病名ではなく、死の四重奏やメタボリックシンドロームによる
血管への障害が持続した結果起こる病態です。
これまで見てきたそれぞれの疾患がどのようにして動脈硬化を起こすか、
また動脈硬化がどのように心血管疾患に影響するのか、
一緒に見ていきましょう!
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動脈硬化とは
まず動脈硬化の前に、動脈の構造について見ていきましょう。
動脈は血液を全身に送り届けるため、心臓から強い圧力をもって駆出されます。
そのため静脈とは違い、3枚の膜(内膜・中膜・外膜)の3層構造でできており、
強い圧力に耐えられるような、しなやかな構造となっています。
しかし血管内にコレステロールが増えすぎると、
内膜の内側にコレステロールが蓄積します。
その結果、血管の弾性力が失われ、血管の壁が硬く変性していきます。
これが動脈硬化の成因です。
コレステロールの過剰摂取=脂質異常症以外にも、
肥満になると、内臓細胞から放出される炎症性サイトカインが血管の表面を傷つけます。
高血圧が続くと、血管壁にかかる圧力が増加します。
糖尿病では、慢性的な高血糖状態となり、これもまた血管壁に負担をかけます
このように、死の四重奏はいずれも動脈硬化を促進します。
これら4つが組み合わさったメタボリックシンドロームが
さらに動脈硬化を増悪させることはもはや説明は不要でしょう。
では次に動脈硬化を起こした結果、なぜ心血管疾患が増えるかを考えていきましょう。
動脈硬化と心血管疾患の関係
コレステロールが沈着した部分はプラークとも呼ばれます。
そしてプラークが大きくなると血管内が狭くなるため血流が悪くなります。
さらにプラークは破裂することがあります。
破裂すると内側の脂質の塊が血管内に漏れ出し、
血液中の血小板やその他の凝固因子(カサブタを作る組織)がまとわりつき、
急速に血栓を作ります。
これら2つが動脈硬化が心血管疾患を引き起こす主な原因として指摘されています。
その他の動脈硬化のリスク
ここまで見てきたように死の四重奏を含むメタボリックシンドロームは動脈硬化の
強力なリスク因子になりますが、そのほかにも原因はあります。
一つずつ見ていきましょう。
タバコ
ご存知の方も多いと思いますが、タバコは重要なリスクになります。
そして怖いことにタバコは1日にたった1本であったとしても心血管疾患のリスクとなります。
非喫煙者と比較し、心筋梗塞については男性:1.74倍、女性:2.19倍
脳卒中については男性:1.3倍、女性:1.46倍のリスクがあるとされています。
また1日20本吸う場合はリスクはこの2倍になると言われます。
さらに怖いことに、
受動喫煙というタバコを吸っている人の周りの人が副流煙を吸った場合も、
心血管疾患のリスクは上昇します。
さらにさらに、喫煙であっても受動喫煙であっても、直接動脈硬化を促進するだけでなく
2型糖尿病や脂質異常症のリスクすら上昇させます。
まさにタバコは百害あって一利なしです。
家族や大切な人の前でタバコを吸っている方、
1日数本しか吸っていないから大丈夫と思っている方、
是非、禁煙について真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
慢性腎臓病
慢性腎臓病についての細かい定義はここでは触れませんが、
3ヶ月以上と長期に腎臓の機能が落ちた状態のことを言います。
腎臓が悪くなった場合に、心血管疾患のリスクが上昇する原因については
はっきりしていませんが、高血圧・脂質異常症・糖尿病の発症頻度や程度が増す
可能性を指摘されています。
また慢性腎臓病患者が心血管疾患を発症した場合、死亡率が高いこともわかっています。
そのため腎臓が悪い方では、より食生活や上記疾患の治療に気をつける必要があります。
多量飲酒
悪いイメージを持たれている方も多いと思いますが、実はタバコと違い、
飲酒は体に良い作用もあります。
脳卒中の中でも脳出血は飲酒量が多いほど、発症率・死亡率とも上昇しますが、
脳梗塞では少量の飲酒を行う方が、むしろ発症率・死亡率とも下がります。
心筋梗塞に至っては、飲酒している人の方が発症率・死亡率が低い
という研究すらあります。
しかしこれは適量の飲酒をした場合の話であり、
多量飲酒をするといずれの心血管疾患もリスクは増大すると言われています。
動脈硬化を予防する食生活
それでは、どのような食事を行えば予防できるのでしょうか。
総エネルギー摂取量の制限
まずは当然、総エネルギー摂取量の制限は必要です。
これまでみてきた通り、肥満は高血圧・脂質異常症・糖尿病などの
リスクとなる疾患の根幹にあります。
適切なエネルギー量を摂取して、適正体重を維持しましょう。
適切なエネルギー量についてはこちらもご確認ください。
脂質の量について
総エネルギー量をコントロールした後は、
どの栄養素からエネルギーを摂るかについて考えます。
動脈硬化はLDL-Cが原因となるため、やはり脂質のとりすぎは厳禁です。
一般的に推奨されている摂取比率と変える必要はありませんが、
肥満傾向の方では特に脂質の過剰摂取には注意が必要です。
三大栄養素の摂取比率についてはこちらもご覧ください。
脂質の種類にも気をつける
脂質は摂取量以外に、摂取する内容も重要です。
飽和脂肪酸、トランス脂肪酸はLDL-C上昇に大きく寄与しますが、
多価不飽和脂肪酸はTGやLDL-Cを低下させます。
またコレステロールは脂質異常症患者において、200mg/day未満の摂取が推奨されています。
脂質の種類については2回に分けて説明していますので、こちらもご参照ください。
最強栄養素、食物繊維も大事
みんな大好き?食物繊維は動脈硬化予防にとても重要です。
食物繊維はコレステロールの吸収抑制や排便促進効果があり、結果的に
死亡率や心血管疾患など多くの予後不良疾患のリスクを軽減します。
水溶性と不溶性に大別され、役割がそれぞれ異なりますが、
いずれにせよ動脈硬化予防に寄与します。
食物繊維については20g/day以上の摂取が推奨されています。詳しくはこちら!
動脈硬化予測アプリ
最後に動脈硬化を予測できるアプリを紹介します。
日本の医学会にはさまざまな専門があり、それぞれに学会が存在します。
動脈硬化に対しても「日本動脈硬化学会」が存在します。
日本動脈硬化学会では複数のQ&Aが記載されており、医療者でない方にも
とてもわかりやすいため、非常におすすめです。
さらに、「これりすくん」という
心血管疾患の発症リスクを計算するアプリもあります。
マスコットのリスが「これりすくん」でしょうか笑?かわいい笑
このアプリでは
心血管疾患・糖尿病・慢性腎臓病・末梢動脈疾患の既往がない、
40-80歳の方であれば、心血管疾患発症のリスクを計算できます。
年齢や性別などの他にコレステロールや空腹時血糖などの数値が必要ですが、
簡単にリスクが調べられるため、おすすめです。
気になる方は是非HPを見てみてください。
https://www.j-athero.org/jp/general/ge_tool/
まとめ
いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。
- 動脈硬化は心血管疾患に直結するリスク
- エネルギー摂取量、脂質摂取量、脂質の種類、食物繊維摂取量に気をつける
- そのほかにもタバコや飲酒も関わってくる
若くして動脈硬化になる方は食生活が乱れている可能性が非常に高いです。
正しい知識を学んで、血管に優しい食生活を送りましょう。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
健康な食事で豊かな未来を!
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