突然死の代名詞「心筋梗塞」

こんにちは!のうきんです!

今日はいよいよ、心血管疾患ピラミッドの頂点である、心筋梗塞について

説明しようと思います。

心血管疾患についてはこちらもどうぞ

ご存知の方も多いと思いますが、心筋梗塞は突然死の代名詞的な病気で、

突然発症して、死に至る可能性も高い、とても怖い病気です。

また若くして発症される方も多く、そのような方のほとんどは

不適切な食生活を送っています

今回は心筋梗塞を避ける、正しい食生活について考えていきましょう!

心筋梗塞とは!?

まずは心筋梗塞という病気について知りましょう。

心臓は全身に血液を送り届けるポンプである、というのは誰しもご存知でしょう。

血液は栄養分や酸素を多く含んでおり、それらを各臓器に送り届けることで、

臓器が正常に機能できるのです。

もちろん、それは心臓も例外ではなく、心臓自身にも血液や栄養分を送る必要があります

そのため心臓は大動脈へ血液を放出するのですが、大動脈からまず最初に

血液が届けられる臓器が心臓であり、

心臓に血液を送る血管を冠動脈(かんどうみゃく)と言います。

冠動脈は右冠動脈、左前下行枝、左回旋枝の3本があり、

いずれも大動脈の根本から分岐し、心臓の表面を走っています。

この冠動脈が詰まってしまい、心臓に血液を送れなくなった結果、

心臓の組織が壊死した病態を心筋梗塞と呼びます。

心筋梗塞が起こると、心臓のポンプ機能が失われ、

急性心不全となったり、異常な電気信号が発せられ、

致死的な不整脈を起こすことがあります。

これが心筋梗塞が死に至る原因です。

また狭心症という言葉も聞いたことがあると思います。

心筋梗塞は冠動脈が詰まって、心臓の組織が壊死する病気と言いましたが、

狭心症は冠動脈が細くなって、十分な血液が送れなくなった状態です。

心筋梗塞が赤信号であれば、狭心症は黄色信号、といった感じでしょうか。

また狭心症は動脈硬化に由来したプラークの形成が原因と

なっていることが多いです。

詳しくはこちらもご確認ください。

それ以外にも攣縮(れんしゅく)という、冠動脈が縮こまってしまう状態や

遠くの血管から血栓が飛んできて、冠動脈を詰めてしまう状態などもあります。

これらをひとまとめにして虚血性心疾患と呼びます。

虚血とは、血流が虚(うつろ)な状態、

つまり十分な血液が臓器に行き届いていないという意味です。

心筋梗塞の死亡者

それでは、年間にどのくらいの方が心筋梗塞で命を落としているのでしょうか。

まずはこちらをご覧ください。

                               令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況

こちらは2021年の総死亡数のうち、死因ランキングです。

心筋梗塞が属する心疾患は全体の2位にランクインしており、

総死亡数の14.9に相当します。

この心疾患の内訳についてさらに詳しく見ていきます。

                      令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 ※一部改変

心筋梗塞、その他の虚血性心疾患は合計して総死亡数の4.7%になります。

また最も多い心不全についても、狭心症などの虚血が関係したものが

少なからず存在すると思われます。

次に年齢別の死因で見てみます。

                          令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 ※一部改変

50〜79歳の死因で心疾患が2位となっていますが、

注目すべきは30歳以上の方でも心疾患が第3位になっていること、

しかも30代の1位と40代の2位が自殺であるため、それを除くと

30歳から79歳の全ての年代で心疾患は死因の第2位であると言うことです。

ちなみにランキングには不慮の事故も含まれるため、

心疾患で亡くなる方は事故で亡くなる方よりも多い

と言うわけです。

以上より、心筋梗塞やその類似疾患である虚血性心疾患は、

平均寿命の低下に大きく寄与しており、若い方でも起こり得る

と言えそうです。

心筋梗塞の予防法

それではそのような怖い病気、心筋梗塞はどのように予防したらよいのでしょうか。

本サイトは食事・栄養の改善をメインとしていますので、

これらについて検討していきます。

これまで散々みてきた通り、心筋梗塞は動脈硬化がベースとなる疾患ですので、

死の四重奏である肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病が重大なリスクになります。

そのため、それらを予防するような食生活が重要です。

詳しくは各疾患を取り上げた稿をご覧ください。

次にそれ以外に心筋梗塞に影響する栄養素について見ていきます。

必須脂肪酸

必須脂肪酸はn-6系、n-3系などの多価不飽和脂肪酸です。

これらは心筋梗塞の発症率、死亡率をいずれも低下させる

という報告があります。

現在、心筋梗塞を予防するための明確な目標量は分かっておらず

一般的な日本人の摂取量が目標量とされています。

詳しくはこちらをご覧ください。

トランス脂肪酸

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一種ですが、こちらは人体に有害とされています。

マーガリンやショートニングなどに多く含まれます。

トランス脂肪酸の摂取はLDL-C/HDL-Cを上昇させる

と分かっていますが、冠動脈疾患を1.3倍増やす

ということも報告されています。

そのため、摂取量の制限が必要です。

一般的にトランス脂肪酸摂取量は1%エネルギー以内と推奨されています。

詳しくはこちらもどうぞ。

食物繊維

食物繊維は何度も登場している栄養素ですが、心筋梗塞を予防する効果があります。

メタボリックシンドロームを予防する効果もありますが、

直接、心筋梗塞の発症率や死亡率を低下させることが分かっています。

一般的には20g/dayほどの摂取量を推奨されています。

詳しくはこちらをどうぞ。

アルコール

アルコールはタバコと並んで、よくない印象を持たれることが多いのですが、

実は心筋梗塞には、飲酒はむしろ良い側面があるとさえ言われています。

e-ヘルスネット様より引用:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html

これは飲酒量と心筋梗塞の発症率のグラフです。

このグラフからも分かる通り、全く飲酒しない人よりも、

少量の飲酒を行う人の方が、心筋梗塞の発症率は低くなります

しかし消費量が一定量を超えると、そこからは死亡率は上昇する一方となります。

適切な飲酒量については、

アルコール量が男性:20g/day、女性:10g/day程度とされています。

これはお酒の量で言うと、20g/dayが

日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ワイン2杯に相当します。

まとめ

いかがでしたか!?今日のまとめは以下の通りです。

  1. 心筋梗塞は若くても死に至る疾患である
  2. 死の四重奏を避ける食生活が重要
  3. 予防のためには必須脂肪酸、食物繊維を多く摂取する
  4. トランス脂肪酸の摂取は控える

心筋梗塞は、狭心症による胸痛など前兆を伴うこともありますが、

何の前触れもなく、突然起こることもあります。

そして起こってしまうと本当に亡くなることもある、恐ろしい病気です。

起こってから後悔しても手遅れです。

ですが正しい食生活を送れば、発症の可能性を下げることができます。

既に死の四重奏を持っている方は、是非健康的な食生活を心がけてみてください。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

健康な食事で豊かな未来を!

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のうきん
ボディーメイクをきっかけに栄養の重要性に目覚めた現役脳外科医。 病院内では手術で、病院外では栄養で。 日本の健康寿命を伸ばします。